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今回はいつもと少し趣向を変えて、ファッションブランドのシューズを取り上げてみることにしよう。そのブランドとは「VANQUISH」。今一番勢いのあるメンズドメスティックブランドであり、ティーンエイジャーから絶大な支持を得ているVANQUISH発信のシューズは、独自のフィルタリングによる個性的なスニーカーばかりなのだ。

この15年ほどの間に、ファッションシーンで大きく変わったことがある。それはワードローブにおける、スニーカーの比重の拡大だ。1980年代以前と言えば、スニーカーはファッションにおいてそれほど重要なアイテムではなかった。単発的に流行することはあっても、それは特定のいくつかのモデルだけで、選択肢はほとんどなかったし、またメーカーの側もそうした需要に応えて、ファッション向けにスニーカーを販売することなどほとんど無かったのだ。


そうした状況に変化が訪れたのは、1990年代に入ってから。ヒップホップのアーティストなどによって、ミュージックシーンでもスニーカーが大きくフィーチャーされるようになると、ファッションの必須アイテムとしてスニーカーは広く深く浸透していった。

そして1990年代半ば、爆発的なスニーカーブームが訪れる。このブームを通じて、人々はスニーカーを履くことの楽しさ、快適さを知り、ファッションアイテムとして様々なスニーカーを履くようになった。そしてまたメーカーの側も、悪く言えばこのブームに“味を占めた”ことで、ファッション需要に応えるべく、様々に創意工夫を凝らした多様なモデルを展開するようになったのである。こうした相乗効果によって、スニーカーはスポーツ用品からファッションアイテムへ、一人一足のギアから一人数足のワードローブへと、進化したと言えるだろう。


と、前置きがだいぶ長くなってしまったが、今回のテーマはファッションブランドにおけるスニーカーである。前述の通り一昔前はスニーカーとファッションの間には、相当の距離があった。ファッションブランドがスニーカー(に似た靴)を発売することはあっても、それらの機能性は乏しく、履き心地も品質もひどいものだった。見た目だけそれっぽくなっていればOK、という時代だったのだ。

しかしスニーカーの定番化が進むにつれて、ユーザーの目は次第に厳しくなっていく。たとえファッションブランドのものであっても、スニーカーらしい機能性や快適さを備えていなければ、履く価値が無いと見なされるようになったのだ。それは丁度スポーツブランドのスニーカーがファッションに歩み寄ったように、ファッションブランドのスニーカーもまたスポーツ=機能に歩み寄る必要があったと言えるだろう。ファッション性と機能性、両者のバランスがうまく取れたスニーカーが、時代に求められているのである。


VANQUISHらしいシャープなシルエットと、派手なパテントレザーで、好評を博した大ヒットシューズ。ファスナー付きで、脱ぎ履きが楽々なのも嬉しい。 パテントレザーのハイカットモデルとともに、2008SSで登場したパンチングレザーを使ったモデル。同じシルエットでもこちらはスポーティーな印象だ。


VANQUISHのスニーカーは、まさにそうした時代にフィットしたアイテムだと思う。見た目は尖っていたり、光っていたりとなかなか個性的。しかし試しに履いてみると、見た目から想像するよりも、ずっと快適なのだ。’80年代の、すぐに靴ズレが出来るDCブランドシューズを知っている身としては、この履き心地はまさに隔世の感といった感じ。

個性的なスタイルのモデルが多いのは、やはりファッションブランドなら、ではと言えるだろう。VANQUISHは、Foot Cornerを展開するceno社の1ブランドでもあり、定番的なシューズに関しては既存のスニーカーブランドから十分に供給されている。だからVANQUISHが自ら埋めるべきマスは、スポーツブランドが決して提案することのない、矛盾するようだけど、ある意味スポーツから一番遠い場所にあるスニーカーなのだ。


ジャックパーセルにインスパイアされたモデルで、VANQUISHとしては初めて丸いトゥを採用した。コンバースとは一線を画すカジュアル過ぎない仕上げ。 VANQUISHのスニーカーとしては珍しく、天然皮革をアッパー素材に使用したモデル。履きこむほどに表情を変え、長く付き合える一足と言えるだろう。


様々なブランドとのコラボレーションも展開

VANQUISHのスニーカーはオリジナルモデルだけでなく、様々なブランドとのコラボレーションにも及んでいる。バッグ類と共通のマテリアルを使ったVCTOモデル、既存モデルにVANQUISHらしさをスパイスとして加えたUBIQ、ヴィンテージのミッキマウススニーカーをモチーフとしたDisneyなど、その内容は様々。次はどんなコラボレーションを見せてくれるか非常に楽しみだ。


VANQUISH x UBIQ
GRACEというUBIQのモデルにVANQUISHらしいカラーリングを落とし込んだモデル。UBIQを扱う全国のスポーツ店にVANQUISHの名が登場したのもユニーク。
VANQUISH meets MICKEY
‘80年代に存在したヴィンテージの総柄ミッキースニーカーにインスパイアされた新作。白、黒2種類のソールで展開されたが白ソールは即日完売だそう。

VANQUISH x VCTO
バッグを中心とした小物類を展開するVCTO(ヴィクト)とのコラボレーション。レザーを編み込んだアッパーは、VCTOの小物類と共通の素材で作られている。
VANQUISH x VCTO
こちらもVCTOとのダブルネーム。先の尖ったスタイルはVANQUISHらしいスタイルと言えるが、シューレース周りにはオーソドックスなデザインを採用。