COLUMN
ディスクブレイズ復活
PUMA DISC LTWT BEAMS 35th ANNIVERSARY EDITION
コラム|プーマ ディスク LTWT ビームス35周年記念
TEXT+PHOTO :: TAKATOSHI AKUTAGAWA
1992年に発売されたプーマのディスクブレイズというシューズは、その斬新なアジャスト機構が多いに話題となり、どちらかと言えばオーソドックスなスタイルのシューズが多かったプーマにとって、同社のテクノロジーをアピールする絶好の機会となった。特にここ日本では、そのスタイリッシュなデザインが支持され、様々な別注モデルが登場したこともあって、後のハイテクスニーカーブームへとつながる、大きなムーブメントの基礎を作ったモデルだと言えるだろう。ディスクシステムが素晴らしいのは、その使い勝手にある。締め付けはもちろんディスクをクルクルと時計周りに回すだけ。微調整も出来て勝手に緩むようなこともなく、脱ぐ時には反時計周りに回して緩めてもいいし、手っ取り早くシュータンを上に強く引き上げれば、すぐにディスクは緩んでくれる。似たようなシューレース代替システムとしては、リーボックのポンプが思い浮かぶが、ポンプよりも調整出来る幅が大きく、かつスピーディーに行えるところがディスクのメリットと言えるだろう。一つ難点を挙げるならば、シューレースのように部分的に締め付けを変える、といったことが出来ないのだが、これは恐らく問題にはならないはず。締め付けの微調整が必要なほどシリアスにスポーツに取り組む人であれば、当然オーソドックスなシューレース方式のシューズを選ぶはずだからだ。
プーマはこのディスクシステムを開発したことで、当然のことながら特許を出願し、1989年6月にドイツで受理。そして1993年1月にはアメリカでも発効されている。誰もがこのシステムの発展を信じて疑わなかったが、実際にはプーマはディスクをメインのテクノロジーとして据えることはなく、やがてラインナップから外されてしまった。その理由は定かではないが、前述の通りシリアスアスリートには向かなかったからなのか、あるいはもっと決定的な問題点があったのか。ともあれリーボックがポンプをずっと継続してラインナップしていたのとは、対照的と言える。
テクノロジーというものは、継続して開発していくことで、当初は思いもしなかった効果を発揮することがある。例えばナイキのエアにしても、最初はどうにもならない企画倒れに近いようなシロモノだったけれど、5年、10年と開発を進めていくうちに、本当にアスリートをサポートする機能として使えるようになった。だから画期的と思える機能が生まれたら、メーカーには是非それを長期に渡って開発を進めて欲しいと願うのだが、セールスとのバランスなどを考えると、なかなかそういうわけにもいかないのだろう。またその時の経営陣の方針によっても、左右されるという内部的な事情もあるはずだ。ともあれこの素晴らしいディスクシステムも、一度はお蔵入りかと思われたが、最近になって再びプーマはこのシステムを復活させたのだ。そしてこのDISC LTWTは、ヒット商品ディスクブレイズの再来。LTWT=ライトウェイトの名が示す通り、最新のBioRide(バイオライド)ソールを装備し、軽量シューズとして生まれ変わった。
久しぶりにディスクを履いてみて認識したのは、やはりこのシステムは極めて機能的だということ。最新スペックのソールに組み合わされていても、アッパーだけがレトロなどという感じはまったくせず、むしろかつてのディスクブレイズよりもフィッティングが良くなったアッパーボディのお陰で、ディスクの締まり具合もとても良い感触だった。もちろんバイオライドソールの感触は素晴らしく、快適この上ない。現在ではBOAシステムなども登場し、ワイヤーによる調整システムはプーマだけのものとは言えなくなっているが、だからこそ先駆者としての意地を見せ、このシステムをさらに発展させていって欲しいところだ。
そしてこのシューズは、ビームスの35周年を記念したモデルだということも伝えておかなければならないだろう。いつも最新の珍しいものを、世界中から見つけてきてくれるビームス。節目の年にディスクブレイズのようなマニアックなシューズに注目するところは実にビームスらしいし、東京シーンを見てきた者としてはついニヤリとしてしまうポイントなのだ。
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