COLUMN
よりプレミアムに、よりゴージャスに
adidas Originals for VANQUISH HARDLAND
コラム|アディダスオリジナルス ハードランド
TEXT+PHOTO :: TAKATOSHI AKUTAGAWA
2010年に発売されたハードランドは、今やadidas Originalsを代表する人気モデルとなった。本来、クラシックな定番モデルを中心に展開していたOriginalsだが、いくら歴史の長いアディダスとはいえ、そのヘリテイジには限界がある。ニーズが多様化する中で、より多くのバリエーションを発売しなければならないというミッションをこなすためには、”古くて新しい”シューズの追加投入がどうしても必要だったというわけだ。
ハードランドはまさにそうした流れで生まれたシューズであり、もちろんスニーカーというカテゴリーに属してはいるものの、スポーツのために作られたものとは言い難い。言わば、ファッションシューズと言うべきだろう。
1990年代には、スポーツブランドがファッションシューズを手がけることに、様々な議論があった。メーカーとしては、基本的には反対。古いものを復刻するようなことも、大々的にはやるつもりが無いし、あくまでスポーツのためのギアを進化させていく、というスタンスだった。が、しかし、時代は変わる。今やそれだけでビジネスを広げていける時代ではなくなった。だからこそ各メーカーともに、ライフスタイルカテゴリーと呼ばれる、ファッション需要向けの商品開発に、積極的にならざるを得なくなったというわけだ。
個人的には、スポーツブランドが作るファッションシューズというのは、多いに意味があると思っている。その最大の理由は、性能。何よりも品質や性能を求められる、スポーツシューズ作りに長けたメーカーが作るのだから、一定の性能は担保されていると考えて間違いはない。履き心地も良いし、防水性もあるし、耐久性もある。いくら見た目が気に入ったとしても、靴擦れがひどくてすぐに壊れてしまうシューズなんて履きたくないものだが、そういった心配を一切せずに買えるというのは、消費者にとっては素晴らしいメリットではないか。見た目さえ気に入れば、あとのことは保証されているのである。だからスポーツブランドがファッションシューズを作るのはおかしい、なんていう一部の意見には耳を貸す必要がないと思う。
実際にハードランドを購入している人にとってみれば、これが古いデザインなのか、現代のデザインなのか、などということには、恐らくまったく興味が無いだろう。ただ時代の空気として、クラシックな何か、さらに言うなら’80s的な何かを求めていて、そのアンテナに引っかかったのが、たまたまハードランドだったということ。確かにハードランドは’80sな面構えをしている。大きなトレフォエル(三つ葉)マークが付いたベロは、RUN DMCが履いたウルトラスターを彷彿とさせるものだし、バルカナイズドソールも’80年代までのアディダスが得意としていたものだ。しかし三本線をアレンジした、甲の部分のパターンは新しい意匠だし、これをよけるようにシューレースを配置するというのも新しい。ミッドソールの形状も、’80年代のアディダスのバッシュは、実はここまでシンプルではなかった。やはりハードランドは’80s風味のまったく新しいプロダクトなのである。
そしてハードランドがデビューした時、Vanquishは最初のコラボレーションを行った。Vanquishというブランドもまた、オーセンティックな洋服のエッセンスを取り入れながら、まったく新しいサイズ感や素材で物作りをしているブランドであり、現在進行形で東京が求めているファッションを具現化しているブランドである。そうしたVanquishの特性は、ハードランドのキャラクターと似通った部分があり、それゆえにadidas Originalsとのパートナーシップはうまく行っているのだろう。
ここに紹介するのは、約1年のサイクルを経て、再びVanquishとのコラボレートで発表されたハードランドだ。今回はTokyo Sneaker Shopの代表と言えるChapterも企画に携わっている。前回のハードランドもラインストーンを配置したスペシャルな一品だったが、今回はスパンコールでよりゴージャスに。さらにパンキッシュなスタッズも打ち込まれている。素材はすべて天然皮革だから、プレミアム感も申し分なし。スムースレザー、型押しレザー、スエード、パテントレザーと、様々な素材を組み合わされており、キルト加工が施されたこともあって、黒一色でありながら変化に富んだ表情を見せている。
しかしこれだけ凝った内容でありながら、定価15,750円というのは、とてもリーズナブルであるように感じる。そうしたプライスに対してのバリュー感の高さも、今のストリートブランドに求められている大切な要素であり、このシューズはその模範解答であるように思えた。
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