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COLUMN

ジグザグテクノロジー

REEBOK ZIG RETURN XT

コラム|リーボック ジグリターンXT

TEXT+PHOTO :: TAKATOSHI AKUTAGAWA

ファンクションがデザインに、あるいはデザインがファンクションに。機能だけでもなく、見た目だけでもなく、それらを高度にあわせ持っているのが、スニーカーの特徴だと言えるけれど、本当に機能的なデザインというのは、そう簡単に生まれるものではない。だからひとたびそうしたデザインが生まれると、偉大なブレークスルーポイントとなって、ブランドのステイタスを引き上げるとともに、スニーカーの歴史に楔を打ち付けることになる。

2009年から2010年にかけて、リーボックは”EASYTONE”と”ZIGTECH”という、まったく革新的なデザインを2つ世に送り出した。これはとても特殊な出来事であり、驚異的でさえある。リーボックのテクノロジーとしては、”PUMP”がよく知られているが、これはアッパーのフィッテイングに関する技術。ソールについては”DMX”や”ヘクサライト”があげられるが、これらは一般的によく認知されたものとは言えず、少なくともNIKEの”AIR”や”SHOX”のように、メジャーな存在とは言えないだろう。しかしこの短期間に発表された2つの技術、イージートーンとジグテックは、どちらもソールテクノロジーなのである。しかも驚きと関心を持って大衆に迎えられ、リーボックブランドの売り上げを飛躍的に伸ばし、親会社であるアディダスの株価はこの2年間で約2倍となった。そして北米市場の女性用フットウェア部門においては、1980年代のエアロビブーム以来久々に、ナイキを抑えてリーボックがトップシェアブランドとなった。

イージートーンとジグテックが成功した理由は、その機能が見た目にわかりやすかったからだ。このことは、過去にナイキの成功を分析した、数々の研究が証明してくれている。つまり”AIR”は何故成功したのか、ということ。

ナイキのエアは当初、まったく売上げに結びついていなかった。それは機能的に発展途上だったせいもあるが、搭載されている部分がソールの内部で見えなかったため、履いてみるまで効果がわからなかったせいだと言われている。しかし1987年のエアマックス発売に際して、ナイキはビジブルエアを採用して、誰の目にもそこにエア=気体が存在していることを、明らかにしてみせた。そこからナイキエアの快進撃が始まったのである。

スニーカーという機能的なシューズの場合、地面と接するソールの機能が一番重要だろうということは、誰もが直感的に感じている。そのソールが革新的で、しかも見た目にそれがわかるようになっていると、コンシューマーはそのシューズが高機能なものであると感じ、履いてみたいという衝動につながるわけだ。加えてイージートーンの場合は、シェイプアップ効果という女性の心に訴えかけるベネフィットがあり、ジグテックは斬新なデザイン性を備えていた。そうしたエポックメイキングな2つのソールテクノロジーが、短期間に同一の会社から発表されたということが、驚異的なのである。これが単なる偶然なのか、はたまた社内における何らかの変化がもたらした必然なのか、それはわからないが、ひとつ確実に言えることは、リーボックが今までよりも確実に面白く、そしてより注目すべきブランドになったということだ。

だいぶ前置きが長くなったけれど、女性専用といった感じのイージートーンはひとまず置いておいて、ジグテックである。最初のモデル、ジグパルスが登場した時から大変気になってはいたものの、カラーリングが好みのものが無くて、少し様子見といった感じだった。しかしその後発売されたこのジグリターンXTで、シンプルなブラックアッパーにホワイトソールという潔いカラーがラインナップされたことを知り、待ってましたとばかりに飛びついた。

ジグテックの最大の特徴は、着地時にかかとから入力された衝撃がジグザグのソールに伝わり、つま先部分で推進力となって放出されるというもの。つまり見た目通り、ソールが前後方向にバネのように働くというのである。しかしながら、この効果は人間の感覚では大変わかりにくいもので、つまりシューズから反発力を感じられたとしても、それが上下方向に働いているのか前後方向に働いているのかは、まったく判断がつかない。だからこの機能については正直なんとも言えない部分があるのだけれど、ただ履き心地がすばらしく良いのは確かだ。これはリーボックもジグテックのメリットとしてあげているが、ジグザグ形状により分厚いソールでありながら屈曲性がきわめて高く、またミッド/アウトソール一体型とすることで、軽量に仕上がってるせいだろう。またあまり宣伝されていないが、ヒールカップをステーブルフィットという形状記憶タイプの素材を使ったものにすることで、かかとのフィット感を上げていることも、履き心地の良さにつながっていると思う。元来リーボックのシューズは作りが良く、履き心地の良い優良モデルが多いという印象があるが、このジグリターンもその流れを受け継ぎながら、より進化させたものとなっている。

しかし既にいくつものモデルがリリースされているジグテックではあるが、それぞれのモデルがどう違うのかという点は、大変わかりにくい。最初に発売されたジグパルスとジグリターンは、どちらも同じようなスペックのランニングシューズであり、アッパーのデザインが少々異なる以外どこが違うのかよくわからず、またカタログの説明文でも明らかにされていない。XTと名付けるのだからクロストレーニング用なのかと思いきや、そうとはどこにも書いていないのだ。この辺もある意味リーボックらしい点で、各モデルのプロフィールを事細かに設定してくるナイキとは対極にあると言えるだろう。

個人的にはあくまでソールデザインのインパクトにシビれ、それを身に付けてみたい衝動にかられたというのが本音だが、実際履いてみると想像以上に快適で、再度惚れなおしたというところ。実際2011年の東京マラソンではかなり着用率が高かったというから、本気で走る人にとっても満足出来る性能なのだろう。ソールが柔らかすぎるシューズはパワーロスが大きく、タイムレースには向かないものなのだが、ジグテックなら効率良く推進力に変えられるのかもしれない。自分のシューズでも一度ロングランをしてみたいところだけれど、今のところはもう少し、キレイなままで街履きを楽しもうと思う。


Top and Side view

Zigtech sole

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