• feature
  • column
  • BLUERIBBONS
  • footcornermagazines
  • aboutus
  • contactus
このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

NIKE MIEKA 1979

COLUMN

ライムグリーンの誘惑

NIKE MIEKA

コラム|ナイキ ミエカ

TEXT+PHOTO :: TAKATOSHI AKUTAGAWA

1990年頃、高校卒業を目前にして、学校の友達同士で旅行に出かけた。その時、友達が持ってきていた雑誌”Boon”に、ミエカというスニーカーが掲載されていた。時は丁度、ヴィンテージ古着ブームに火が付きかかっていた頃。リーバイスのデニムと、ナイキのスニーカーは、ブームを象徴するアイコンであり、誰もが競うようにそれを手に入れようとし、相場は一気に跳ね上がろうとしていた。

雑誌の片隅に小さく写っていたそのシューズは、ストロボによる色飛びを起こしていて、明らかにそれが蛍光色に近い、鮮やかな色であることを示していた。一体この派手なスニーカーは何なんだろう?それまでまったくと言っていいほど興味が無かった、ヴィンテージスニーカーの世界に、急速に惹きつけられていったのをよく覚えている。

1980年代のスニーカーは、はっきり言って地味だった。スニーカーはファッションの主流では決してなかったし、’80年代初頭のモードブームを人々はよく覚えていて、スニーカーがファッションとして取り沙汰されることがあったとしても、それは決まってモノトーンカラーがベースのものだった。

ヴィンテージスニーカーが一躍脚光を浴びた時の衝撃は、それをリアルタイムで体験した人にしか、理解することが出来ないだろう。原色と原色を組み合わせた、ド派手なカラーリング。それをシンプルなデザインに纏わせた、1970年代の亡霊は、1990年代においてなお光を放ち、新鮮でファッショナブルな存在だった。

しかし残念なことに、僕が魅了されてしまったそのミエカは、当時でもかなり希少価値の高いもので、なかなか手に入れることが出来なかった。最初は何故見つからないのだろうと、不思議に思っていたけれど、その理由は段々とわかってくる。

ナイキは1977年から日本での販売を開始し、そのラインナップに1979年から加わったのが、このミエカだった。しかしそれら日本で販売された、ナイキシューズの多くは、日本で独自に企画され、ライセンス生産されたモデルで、アメリカで販売されていたラインナップとは、その内容が大きく異なっていた。

もともとミエカは、アメリカでは女性用シューズとしてデザインされたもので、本国仕様はパープルにホワイトスウッシュという組み合わせ。それを日本人向けにリデザインして、男性用として鮮やかなライムグリーンとブラックスウッシュの組み合わせにしたのが、僕の求めていた日本版ミエカだった。つまりそれが残っている可能性があるのは、あくまで日本国内。アメリカで仕入れをしていた古着屋などには、決して並ばない理由が、そこにあった。

その事実がわかってからというもの、日本中の様々な場所に出かけては、スポーツ店や靴屋をたずねて回ることになる。しかし同じようなことをやっていた輩は大勢いて、大抵返事はつれなかった。一度は北海道の士幌という町で、色違いのミエカを見つけて喜んだけれど、ライムグリーンのミエカはなかなか姿を現わさない。

ミエカを探しているうちに、いつしか僕は、いっぱしのスニーカーコレクターになっていた。

日本各地で出会ったデッドストックのスニーカーたちは、僕の部屋の棚を占領し、そこから溢れた分は、フリーマーケットや仲の良い古着屋さんの店頭で現金に変わり、その金は再び別のスニーカーへと姿を変えた。

金が少し貯まるようになると、今度はアメリカまで足を伸ばし、ブルックリンやLAの街中で、黒人の大男たちに脅えながら、古いスニーカーを探した。もちろんそこにミエカが無いのはわかっていたけれど、僕は既に完全なスニーカーホリックだったから、ミエカへの偏愛も薄れてきていて、興味の対象は無限にあった。

しかしチャンスは突然訪れる。ミエカの存在を知ってから、3?4年が経ったある日、僕はフリーマーケットの会場で、理想的なサイズの新品のミエカに出会った。興奮を隠しきれないまま、店の主に値段を尋ねると、3万5千円という返事。もちろん即座に買った。その瞬間、僕の心の中にぽっかりと空いていた空洞が、うまく言い表せない特別な感情で、満たされていくのを感じた。

今までに買った数知れないスニーカーの中でも、ミエカを見つけた時の光景だけは、はっきりとリアルに脳裏に焼き付いている。実は写真のミエカは、その後箱付きで手に入れた完全なデッドストックで、フリーマーケットで手に入れたものではない。だけどやっぱり特別な思いが残っているのは、あの時手に入れた箱の無かったミエカ。

あの頃の僕は、現代のトレジャーハンターだった。恐らくそれが生き甲斐だったし、その感情を引きずったまま、年を重ねている。そんな僕自身のアイデンティティを形作った、大切な存在がこのミエカであり、僕のコレクションの中でも、最も大事にしているシューズなんだ。



Made in Japan
Made in Japan
box of MIEKA
Original box
Boon,1990
“Boon” magazine, 1990

コラム|NIKE PRE MONTREAL RACER

On 5月-13-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|Teva FUSE-ION

On 4月-30-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|NIKE AIR TAILWIND VTGE QS

On 4月-15-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|Cole Haan LunarGrand WingTip

On 2月-27-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|PUMA BOLT LITE

On 2月-20-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|NIKE Cortez Classic OG Nylon

On 2月-6-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|montrail Badrock Mid OutDry

On 1月-30-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|THE NORTH FACE NSE Traction Chukka

On 1月-16-2012
Reported by AKUTAGAWA

コラム|NIKE ACG ウッドサイド

On 1月-8-2012
Reported by AKUTAGAWA